フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

【本日のミッション】

Excel VBAにて、指定したフォルダ内のフォルダ名全てをGetAttrを使って「53 ファイルが見つかりません。」というエラー出さずに取得し、Excelのシートに書き出せ

以前お話ししました

指定したフォルダ内のファイル名全てを取得(Excel VBA)

のフォルダ版です。

ミッションの概要

ファイルのところをフォルダに変えればいいだけやん♪

と軽く考えてしまうのですが、ファイルをフォルダに変えるのがやっかいなんです。

今回のミッションでは、下記フォルダから「第2階層1」「第2階層2」「第2階層3」の3つのフォルダ名のみを取り出したいのです。

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

ファイルの準備とプロシージャ

Excelマクロ有効ブック(.xlsm)のファイルを新規作成します。

そのファイルのシートに下記の通り、フォルダのパスを入力するセル(A3)、取得したフォルダ名を書き出すセル(6行目1列目)を準備します。

フォルダパスには、フォルダ名を取得したいフォルダのフルパスを入力します。

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

このシートをアクティブにした状態で、Alt+F11でVsual Basic Editerを起動します。

[挿入]-[標準モジュール]で新規モジュールを作成し、下記の通りコードを記入します。

Sub 指定したフォルダ内のフォルダ名を全て取得()
    'アクティブシートから処理対象のフォルダパスを取得し 
    'そのフォルダ内のフォルダ名を全てアクティブシートに取得
    '【変数】 
    Dim ws As Worksheet '処理対象シート 
    Dim fd As String    'フォルダ名 
    Dim t_row As Long   '処理ターゲット行 
    Dim pt As String    '処理対象パス

    '■変数セット 
    Set ws = ActiveSheet '変数ws=アクティブシートをセット 
    pt = ws.Range("A3")  '変数ptにセルA3のパスをセット 
    t_row = 6            '変数t_rowにフォルダ名を書き出す初めのセルの行番号をセット 
    fd = Dir(pt & "\" , vbDirectory) 'Dir関数の引数に「vbDirectory」=「フォルダ」を指定
    Do While fd <> ""                       'fdが空になるまでDo While内の処理を続ける
    If (GetAttr(pt & "\" & fd) And vbDirectory) = vbDirectory Then  '※1:標準ファイルを取得しないために必要
        If fd <> "." And fd <> ".." Then            '※2:ナゾの「.」と「..」を取得しないために必要
            ws.Cells(t_row, 1) = fd                 'Cells(t_row, 1)にフォルダ名を書き出し 
            t_row = t_row + 1                       'フォルダ名を書き出すセルの行番号+1(一つ下の行番号)
        End If
    End If fd = Dir() '変数fdに次のフォルダ名を格納(対象データが無い場合は空欄になる)
Loop
End Sub

記入したプロシージャ(Sub~End Subまで)のどこかにカーソルを置いてF5キーをクリックしてください。

Excelのシートを見てください。

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

フォルダ名を書き出すセルは6行目の1列目から下に順に書き出すようなコードにしています。

第1階層フォルダに入っている3つのフォルダ名のみが書き出されました♪

Dir関数で取得したいフォルダ属性を指定

Dir関数は、第1引数に指定したファイル・フォルダが存在する場合、パスを除いたファイル名・フォルダ名を返します。存在しない場合は長さ0の文字列 ”” (空欄)を返します。

Dir(ファイル・フォルダのパス,ファイル・フォルダの属性)

Dir (“C:\VBA\第1階層\” , vbDirectory)  の場合

  • ファイル・フォルダが存在する場合(ファイル名・フォルダ名を返す)→  第2階層1
  • ファイル・フォルダが存在しない場合(空欄を返す)                       →  ””

第2引数に下記定数(値)を指定することで、特定の属性のオブジェクトのみを取得の対象とすることができます。

ファイル名のみを取り出したかった前回は標準ファイルを取り出したい時に指定する定数「vbNormal」が規定値なので、何も指定せずに取得できたのです。

定数属性
vbNormal (既定)0標準ファイル
vbReadOnly1読み取り専用ファイル
vbHidden2隠しファイル
vbSystem4システム ファイル
vbVolume8ボリューム ラベル。この値を指定すると、すべての属性は無効になります。
vbDirectory16フォルダ
vbAlias64エイリアスファイル

※4、8はMacでは使えません。また、64はMacintoshのみ使えます。

Dir関数は一度引数を指定すると、次に別の引数を指定するまで、同じ引数に対する処理を行います。

fd=Dir("C:\VBA\第1階層\", vbDirectory)
fd=Dir()
fd=Dir()

1行目の処理では、変数fdに「C:\VBA\第1階層\」に一致するファイル・フォルダが存在すれば、そのファイル名・フォルダ名を返します。

2行目以降の「fd=Dir()」では引数を指定していませんが、「C:\VBA\第1階層\」に一致する別のファイル名・フォルダ名を返します。

その処理を繰り返し、「C:\VBA\第1階層\」に一致するファイルが無くなった時、長さ0の文字列 ”” 空欄 を返します。

何度も「fd=Dir()」を書くのは面倒だし、どのタイミングでファイルが無くなるかわからないので、Do While ~ Loopを使って繰り返し処理を行います。

fd=Dir("C:\VBA\第1階層\", vbDirectory)
Do While fd <> ""         'fdが空欄になるまでDo While内の処理を続ける 
    ~fdで行いたい処理を記述~
    fd = Dir()            '変数fdに次のファイル名・フォルダ名を格納(ファイル名・フォルダ名が無い場合は空欄になる) 
Loop

参考:Dir関数が取得するファイルの順番
参考:Dir関数の使い方。ファイル名やフォルダ名の取得方法。(Excel VBA)

指定した属性以外の「標準ファイル」が含まれる理由

フォルダ名を取り出したい場合、

fd = Dir(pt & "\" , vbDirectory)

の記述だけで十分って思ってしまいますよね。

この記述だけだと

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

フォルダ名以外に、なぜかファイル名3つと謎の”.”と”..”という文字を取得してしまっています。

Dir関数は第2引数に指定した定数の値の合計で、どの属性を取得するか判断しています。

Dir関数の定数一覧を見てみましょう。オレンジ文字のところが定数の値です。
それぞれの定数には、決められた値があります。

定数属性
vbNormal (既定)0標準ファイル
vbReadOnly1読み取り専用ファイル
vbHidden2隠しファイル
vbSystem4システム ファイル
vbVolume8ボリューム ラベル。この値を指定すると、すべての属性は無効になります。
vbDirectory16フォルダ
vbAlias64エイリアスファイル

今回はフォルダを取得するため、「vbDirectory(16)」を指定しています。

Dir関数はこの「16」という値から

16 vbNormal0)+vbDirectory(16

標準ファイル vbNormal の「0」も含めて処理します。

どうあがいてもDir関数では、値が「0」の標準ファイルを処理対象としてしまいます。

指定した属性以外の標準ファイルを含めないようにするためにGetAttr関数を利用します。

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GetAttr関数とは

GetAttr関数は引数に指定したファイルまたはフォルダの属性を、整数 (Integer型) で返します。

GetAttr(ファイル・フォルダのパス)

GetAttr関数が返すのは下記 値 になります。

定数説明
vbNormal(規定値)0標準ファイル
vbReadOnly1読み取り専用ファイル
vbHidden2隠しファイル
vbSystem4システム ファイル
vbVolume8ボリューム ラベル
vbDirectory16フォルダ
vbArchive32アーカイブ
vbAlias64エイリアス ファイル

※4、8、32はMacでは使えません。また、64はMacintoshのみ使えます。

例えば、下記のようなフォルダで・・・(それぞれのファイルには、ファイル名と同じ属性がつけられています。)

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

GetAttr("C:\VBA\Dir関数検証\03_読み取り専用ファイル.xlsx")

とした場合、読み取り専用ファイル  vbReadOnly の値「1」を返します。

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

GetAttr("C:\VBA\Dir関数検証\01_フォルダ")

とした場合、フォルダ  vbDirectory の値「16」を返します。

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

GetAttr("C:\VBA\Dir関数検証\11_隠しファイル属性付きフォルダ")

フォルダ vbDirectory(16)に、隠しファイル vbHidden(2の属性もセットされている場合、合計値の「18」を返します。

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

しかし、合計値の「18」だけでは何の属性を含んでいるのか判断できません。

それを解決してくれるのが「And演算子」なのです。

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And演算子とは

ここで使われるAnd演算子は私たちがよく知っている

A And B  →   A かつ B

の意味では使われていません。

A And B

この場合のAnd演算子は、左辺のAと右辺のBをそれぞれビット単位に分解し比較します。

Aが「18」という値だった場合、「18」を

隠しファイル vbHidden(2)+ フォルダ vbDirectory(16

という風に、属性の値の単位に分解します。

左辺Aと右辺Bに同じビットが存在するときに、同じビットの値を返します。

“C:\VBA\Dir関数検証\11_隠しファイル属性付きフォルダ” が、隠しファイルの属性付きのフォルダ

GetAttr("C:\VBA\Dir関数検証\11_隠しファイル属性付きフォルダ") And vbDirectory

とした場合は「16」を返します。つまり「フォルダ」属性を含んでいることがわかります。

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

(GetAttr("C:\VBA\Dir関数検証\11_隠しファイル属性付きフォルダ") And vbDirectory) = vbDirectory

これらを括弧(  )で囲み上記のようなコードにすると、「vbDirectory」(16)と同じ値を返したら「True」を返します。

GetAttr("C:\VBA\Dir関数検証\11_隠しファイル属性付きフォルダ") And vbHidden

とした場合は「2」を返します。つまり「隠しファイル」属性を含んでいることがわかります。

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

(GetAttr("C:\VBA\Dir関数検証\11_隠しファイル属性付きフォルダ") And vbHidden) = vbHidden

これらを括弧(  )で囲み上記のようなコードにすると、「vbHidden」(2)と同じ値を返したら「True」を返します。

“C:\VBA\Dir関数検証\01_フォルダ”に「フォルダ」属性を含んでいるかどうか調べるときには、こんな感じにします。

If (GetAttr("C:\VBA\Dir関数検証\01_フォルダ") And vbDirectory) = vbDirectory Then
    MsgBox "フォルダです!"
End if

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

GetAttr実行時に出てくる「実行時エラー’53: ファイルが見つかりません。」

GettAttrを初めて使ったとき

フォルダ内の全フォルダ名をGetAttrで「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)

実行時エラー’53: ファイルが見つかりません。

というエラーを出してしまいました。

ファイル名ならDir関数を使って取ってきているはずなのに・・・

エラーを出した時、GetAttr関数の引数を下記のようにしていました。

fd = Dir(pt & "\" , vbDirectory)
If (GetAttr(fd) And vbDirectory) = vbDirectory Then

変数fdにフルパス「C:\VBA\第1階層\File1_1.xlsx」が入っていると思ったのですが、Dir関数で取得しているのはパスを除いたファイル名・フォルダ名

File1_1.xlsx

だけなんです。

ファイル名だけを引数に入れられたGetAttrは

「そんなファイルありません」

と警告してくれていたのです。

GetAttrの引数には、上階層のパスも含めて入れてあげます。

GetAttr(pt & “\” & fd)

そうすると、実行時エラー53が出なくなります。

“.”と”..”とは?

「.」とは自分自身のいるカレントフォルダ、「..」はカレントフォルダの一つ上の階層のフォルダのことを指しています。

今回の処理では

fd = Dir(pt & "\", vbDirectory)

「pt=C:\VBA\第1階層」としているので

「.」は ・・・「pt=C:\VBA\第1階層」 自分自身のフォルダ

「..」は・・・「C:\VBA」                   一つ上の階層のフォルダ

となります。

今回の処理では「.」や「..」フォルダは必要ありませんので、

If fd <> "." And fd <> ".." Then
End if

という処理で、除外しています。

【参考】

指定したフォルダ内のファイル名全てを取得(Excel VBA)
変数でよく使われる「buf」「tmp」の意味
Dir関数が取得するファイルの順番
指定したフォルダ内のフォルダ名全てをGetAttrを使って「エラー53 ファイルが見つかりません。」を出さずに取得(Excel VBA)
GetAttr関数とAnd演算子でビット演算の使い方 ファイルやフォルダの属性を取得
フォルダ名だけを取得したい時に出てくる 「.」 と 「..」 とは?
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FileSystemObject CreateObject関数を使う方法・ 参照設定を使う方法 違いを理解してエラー防止
再帰処理とは?指定したフォルダの全ての階層のフォルダ名・サブフォルダ名・ファイル名を取得(Excel VBA)
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